『おれの住まいと同じ』
むがぁしむがし、
ちょうど山のかげの池さ、びっき、いだっけど。
いっぺ居で、そん中の一匹のびっき、
「おれぁ、山越えで海さ行って来た。おらだのこげな沼ど違って、いやぁ海はおっきがったぞ」
って自慢しったっけど。
ほうしたら、一匹のびっきぁ、
「そがいにおっきごんじゃ、おれも行って見で来っかなぁ」
って言って、
ビッタラ、ビッタラて、三日もかがって、山の上さ登って行ったけど。
ほうして頂上さ上がって、グーッと背伸びして、眺めでみだど。
んだげんど、びっきの目ぁ、うっしょさついったもんたがら、自分の沼写ったんだども。
「何だぁ、おっきいなて、おれの住まいど同じだでら」
「こんなんだら、行がねくたっていいはぁ」
って言って、また、
ビッタラ、ビッタラて帰って来たっけど。
どーびんと。