『べんべこ太郎』
むがしむがしのごどだっけど。
ある村さ一人の坊さま来てお経読みながら回ってだっけんだど。
村さは宿なてねがったもんだがら、村人の家さ泊めでもらうごどにしたんだど。
晩飯のあど、たまに家の人が悲しそうな顔してるもんだがら、坊さまが理由を聞いだら、神社の裏山さは怪物がいで、三年に一度、若い娘置いでこねど、村中で暴れまわるんだど。村人の娘も二年前に神社さ置いできたもんだがら、たまに思い出しては悲しぐなるんだっけど。
坊さまは、その話聞いで、真夜中に神社さ行ってみだんだど、ほして静がに待ってだったらば、ふとあったげ風吹いできて、生臭い匂いしたがど思ったら、怪物らが集まってきて酒盛り始めだんだど。
しばらぐして酔っぱらった怪物らが歌うだいだして、
「ボンボゴボン、おらんだが一番おっかねなは、信濃の国のべんべご太郎だ。ボンボゴボン」
って歌うんだっけど。それ聞いだ坊さまは村人さ
「お世話になったお礼に来年は必ず娘さんの敵討ちしてけっがらな」
って約束して旅立ったなだど。
ほして一年たった頃、坊さまは信濃の国で、べんべご太郎っていう大きな犬を連れで戻ってきたなだど。
坊さまは、夜中になっとべんべご太郎ど一緒に、神社さ出がげだんだど。
しばらぐして、犬の吠える声ど怪物らの唸り声が聞こえできて、それが一晩中続いだごんだど。
朝になって、村人が恐る恐る神社さ行ってみっと、大狸の死がいがごろごろ転がってで、疲れ果てだべんべご太郎は坊さまの膝で寝ったったど。
次の日、坊さまは、またべんべご太郎ど一緒に旅に出たなだど。
どーびんと。