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『竜神の立て札』

 むがぁしむがし、置賜の白鷹さほら吹ぎの和尚様いだっけど。
 いっつも自慢話してほら吹いでだったもんだがら、村の人らは相手にしねがったんだど。
 ある年、日照りで困ってだったどぎ、和尚様は村の人らびっくりさせっかど思って、寺の裏山さある池のほとりさ立て札立でだんだど。
 その立て札さは
「三日のうちに、雨を降らせるであろう。池の主竜神」
って書いだごんだど。
 立て札見だ村の人らは喜んではぁ、池のほとりさお供えして、雨乞いのお祈りば始めだんだど。
 ほしたら、三日目に空曇ってきて雷鳴ったがど思ったら、ザーッっていう音ど一緒に池の中がら竜が出できて、雨の中を空高ぐ昇ってったんだど。
 そさ居だった村の人らも魂消だげんど、和尚様はもっと魂消だごんだど。
 ほだって、出鱈目で書いだ立て札の文句が本当になったなだも。
 和尚様は村の人らさ自慢しっちゃくってはぁ、
「あの立て札は俺書いだんだ」
って言って回ったなだど。
 ほだげんど、いっつもほら吹いで回ってだったもんだがら、村の人らは誰も相手にしねがったんだど。

 どーびんと。

山形弁訳

『竜神の立て札』
 むかしむかし、置賜の白鷹にほら吹きの和尚様がいたんだと。
 いつも自慢話して、ほらを吹いていたものだから、村の人たちは相手にしなかったんだと。
 ある年、日照りで困っていた時、和尚様は村の人たちをびっくりさせようかと思って、寺の裏山にある池のほとりに立て札を立てたんだと。
 その立て札には、
「三日のうちに、雨を降らせるであろう。池の主竜神」
 って書いたんだと。
 立て札を見た村の人達は喜んで、池のほとりにお供えをして、雨乞いのお祈りを始めたんだと。
 そしたら、三日目に空が曇ってきて雷が鳴ったかと思ったら、ザーッていう音と一緒に池の中から竜が出てきて、雨の中を空高く昇って行ったんだと。
 そこに居た村の人たちはびっくりしたんだけれども、和尚様はもっとびっくりしたんだと。
 だって、でたらめで書いた立て札の文句が本当になったのだから。
 和尚様は村の人達に自慢したくて、 「あの立て札は俺が書いたんだ」
って言って回ったんだど。
 けれど、いつもほら吹いて回っていたものだから、村の人達は誰も相手にしなかったんだと。

 どーびんと。





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