いまは家の中さいっぺ部屋あってよ、分かっちぇで、部屋、部屋て言うどれなぁ。
むかしはガラーンとした大きなどごさ、筵下げだり、屏風立でだりして、みな暮らしていだっけど。
あるどこの娘は、そこの家さムガサリ(花嫁)に行くごとになったど。
親ぁ心配して、
「いや、娘よ、お前はどうも屁ばり垂っちぇ、困ったもんだ。屁垂れっどぎは、人いねどこで、そっとたれるもんだぞ」
て、おっかがら教えらっじゃど。
娘、嫁さ行って、ニ、三日したらば、青い顔して、だんだん食欲もねぐなって、
「はてなぁ、どこか悪れどこあんなんねべが、これこれ、嫁さん、嫁さん、どこか体悪れが」
「どこも悪れぐねっし」
「いや、実はよシ、おれ、屁たれんな我慢しったもんだから」
「屁なてでるもんだもの、そがえに我慢するもんでねごで。出もの腫もの所嫌わず、ていう諺あっから、屁などたっちぇもさしつかえねぇがら・・・」
「その屁もよ、おれの屁、他人ど違って、大きな屁たれるもんだからよっシ」
「大きな屁などたっじゃて、さしつかえないから、大きな屁たれろ」
「ほだべがっシ。ほんじゃなっシ、おれ屁たれっからなっシ、おどっつぁま、その大黒柱さぎっちりたぐづいておくやいなっシ、おっかさまはこっちの臼、おさえででおくやいなっシ。ええがんべが、たっで。みんなぎちっとおさえででおくやいなっシ」
ほうして、嫁さんがちっとしゃがんでいたけずば、ボォーン、大きな屁たっで、いや、大黒柱も倒れっかどおもったけど。
「いやいや、せいせいした、おっかさん、やっと治ったず」
「屁我慢して、身体悪れぐされっと困っがら、この大っきな場所さ、壁でもつけで、おまえの屁屋(部屋)一つ拵って呉っこで」
て、拵ってもらったど。
これが部屋というものの始まりだったど。
どーびんと。
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